【Tips】3DプリンタX-Smart (QIDI TECH) のトラブル & 取り組みを紹介

3Dプリンタ
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約3年間使用しているエンクロージャ型の3Dプリンタ X-Smart(QIDI TECHNOLOGY製、以降QIDI TECH)が2021年8月頃からトラブル続きで、製造元と写真付きメールで連絡・相談をしつつ、さまざまな交換部品を購入して試したり、分解して修理したりしてきました。

そこで今回は過去発生したトラブルとそれに対する試行錯誤、その中で得た知見について紹介します。同機種を使っている方、QIDI TECH製品の利用者、そして3Dプリンタユーザーの参考になれば幸いです。

2022年9月4日追記:公開当初は「現在も修理中」と記載しましたが、修理はほぼ完了しました。ただ、同年4月ごろに購入したPrusa i3 MK3S+の性能が良かったので今ではX-Smartは置物状態で使っていません。

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ノズル詰まり & 非純正ノズルの悲劇

ノズル詰まりとは?

積層式の3Dプリンタで多発するトラブルの一つがノズル詰まりです。ノズル先がフィラメントで詰まると、印刷物が正常時に比べてスカスカになったり、ノック音がしてフィラメントが出てこなくなったりします。ノズルが詰まる要因はさまざまです。

ノズル詰まりの要因例
  • ノズル先の加熱温度が低い
  • 庫内温度が高くてフィラメントが軟らかくなる(ヒートクリープ現象
  • フィラメントを送り出す(または引き戻す)速度
  • フィラメントの素材(PLA、ABS、TPU、…)
  • フィラメントの吸湿具合
  • ノズルまたはPTFEチューブ内の汚れ

非純正のMK10ノズルを試してみた

一時期私もこれに悩み、ノズルを消耗品のごとく交換していました。そんな中、Amazonで非純正の安いノズルを見つけて購入しました。

3Dプリンタのノズルにはいくつか規格があり、二面幅(六角形の対辺間の距離)が異なります。違いを調べるにあたり、コチラ(3D Printerly)を参照しました。

  • E3D…対辺7mm、ネジはM6サイズ
  • MK8…対辺6mm、ネジはM6サイズ
  • MK10…対辺9mm、ネジはM7サイズ

X-SmartではMK10ノズルが使われています。そこでfosa製のMK10ノズルをAmazonで見つけて購入しました。10個セットで1400円弱とかなり安かったです。

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購入当初はノズル詰まりが解消して喜びましたが、しばらく使うとノズル詰まりが再発。詰まらず印刷できても印刷物が汚かったりとトラブルが多発しました。

不均一な品質によるトラブルが発覚

そこでノズルを確認してみると明らかに作りが違うノズルが混在していました。以下のツイート内の写真だと、ノズル先端の外径とノズル径を示す刻印「0.4」が違うのがわかるかと思います。

「『安物買いの銭失い』とはこのことか!」と身をもって感じました。

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このツイートに対してAmazonの公式アカウントが反応してくださり、返金対応の連絡を販売元にしました。しかし気づいたのは購入日から1ヶ月以上が経過した後だったので、全額ではなく半額返金で解決しました。エクストルーダーは汚れてしまい、ノズル詰まりに費やした時間を思い返すとショックでした…。

QIDI TECHの純正ノズルに交換

前述のトラブルから反省し、今後はQIDI TECHの純正ノズルを使っていこうと考えています。また、ノズル以外にも温度やフィラメント素材、印刷パラメータなどの要因によってもノズル詰まりは生じるのでそれらについて印刷する度に確認・調整を怠らないようにします…。

当時は別件でプラットフォームシートの相談をQIDI TECHにしていたため、ノズルについても訊いたところ、純正シートをAliExpress経由で購入した際にノズルを無料で付けてくれました。しかも5つも!QIDI TECHに問い合わせた際に交渉すると、価格を安く、またはメンテナンス品を多めに送ってくれることがあります。

純正ノズルに交換してからはノズル周辺の大きなトラブルは起きていません。やはり3Dプリンタを扱うメーカーが作る純正ノズルだと安心感が違いますね。

購入費用はシートのみ、ノズル5個は無料!

QIDI TECHの部品調達について

QIDI TECH製品に限らず、3Dプリンタは高温で樹脂を溶かしてプラットフォームシートに重ねていくという一連の作業を繰り返し行います。そのためノズルやプラットフォームシートなどの消耗品を定期的に購入・交換する必要があります

そこで本章ではAliExpressとAmazonでの購入

AliExpressの場合

QIDI TECH公式ストアはAliExpressにて3Dプリンタ本体およびメンテナンス部品を販売しています。ストア名「QIDI TECHNOLOGY Official Store」にて部品を探せば純正品を入手可能です。メールでQIDI TECHに問い合わせて部品発注が必要な場合、 AliExpressの商品ページURLが送られてきます。

X-Smartは2017年製と古く、公式HPでも商品ページが無いため取扱がほぼ終了している製品です。そのためX-Smart向けの消耗品に関する商品ページも見当たりませんが、ノズルであればX-makeri-mate sなどの別モデルと互換性があります。

ノズルに使用するPTFEチューブの長さは、X-Smartだと36mmなので若干カッターで切る必要があります。切る際は私の作ったジグをぜひ活用してください。

AliExpressで部品購入すると、QIDI TECHが値下げ対応してくれることがあるので、お得に部品を購入できます(前述参照)。しかし海外発送により届くまでに時間がかかるので、3Dプリンタを常に稼働させるヘビーユーザーは予備を持っておくか、次に紹介するAmazonを利用してください。

Amazon.co.jpの場合

日本のAmazonでも3Dプリンタ本体と消耗品を購入することができます。ただし、Amazonだとマーケットプレイスという仕組みにより、メーカーではない事業者でも公式製品ページ上で販売できます。在庫状況によって販売元が変わる可能性があるので、販売元が「QIDI TECH JAPAN」であるかの確認を忘れずに行ってください。

購入時は販売元が純正メーカーかどうかを確認!(2022年9月20日時点のAmazon掲載情報)
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ファーストレイヤーの定着が悪い

FFF方式の3Dプリンタを使うなら、一度は悩むのが1層目の定着具合です。QIDI TECHのプラットフォームシートは表面がザラザラで他のメーカーに比べると定着力が強く、1層目で印刷失敗する確率は低い方です。しかし、印刷を繰り返すうちに表面の凹凸による1層目の定着が徐々に悪くなります。

劣化を疑う前に、液晶タッチパネルからLeveling(日本語設定だと「平準化」)を選択し、ビルドプレートのネジ3本を調整するのをオススメします。重力や印刷時の振動の影響でネジが多少緩むため、一度確認してみましょう。レベリング専用シートはAmazonで入手できるので、ノズル先が触れてシートの傷が増えてきたら交換を検討してみてください。

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他の策としてはプラットフォームシートを消耗品と考え、通販サイトで純正品をあらたに購入する方法があります。またはシート裏面の凹凸の無い面にスティックのりを塗って定着しやすくするのも一つです。シート自体はAliExpressで購入でき、X-makerと互換性があるので流用できます。

現在のシート(右)はX-Smart / X-Maker両方対応、上部の表記が”3Dprinter”と含みを持った表現に変更

本ブログでは過去に、3MのプラットフォームシートPEIシートを裏面に貼り付けて性能を調べたことがあり、こちらも参考になるかと思います。

オーバーハング対策で冷却用ダクト導入

旧モデルによる不十分な冷却性能

私は自分のX-Smartで印刷する際、オーバーハングが汚いことが気になっていました。オーバーハングとはサポート材なしで宙に浮いた箇所を印刷することですが、サポート材が無いためフィラメントが少し垂れ下がり、結果オーバーハングの面は汚くなりがちです。

この問題を改善するために、スライサーソフト(QIDI-Print)内で気をつけるべき印刷設定・パラメータがないかをQIDI TECHにメールで質問すると、X-Smartは一部設計が改良され、私のものは古いモデルであることが判明しました。

私は2019年頃発売のX-Smartを使っていたのですが、改良版ではノズルを冷やすダクトが追加されていました。

QIDI TECH曰く、ダクトからノズル先端に直接風を当てて冷却すると、溶けたフィラメントが速く冷えてオーバーハング部分がキレイに印刷されるとのことです。

新モデルの部品に交換してダクト追加

QIDI TECHに連絡し、新モデルの該当部品(キャリッジ、carriage)をAliExpressで購入しました。問い合わせた中で交渉したことで値下げ対応していただきました。

換装後、同じ3Dモデルを印刷しましたが「キレイになった!」とは言うほどの品質向上は見られませんでした。樹脂の垂れは消えましたが、依然荒れた見た目をしています。

もちろんダクトを追加するだけでなく、スライサーソフトから冷却ファンの設定を詰める必要があります。ただし、各自の3Dプリンタを利用する環境(温度、湿度、フィラメント素材など)によってパラメータ値は様々です。私はメール等のやりとりで疲弊したので諦めましたが、みなさんはぜひネットで調べて挑戦してみてください。

ノズル温度のエラー & フラットケーブルの焼損

センサの取得温度が異常

前述のようなトラブルが発生するたび、エクストルーダーを取り外してはノズルやモータのギア部分などを確認して再度取り付ける作業を繰り返していました。

するとある日、ノズルの取得温度が1077℃と表示されてノズルの加熱操作ができないトラブルに遭遇しました。外気温が1000℃を超えているわけがないので、おそらくセンサが壊れていると判断しました。

原因調査:フラットケーブルの焼損

X-Smartのエクストルーダーにはファンや温度センサなどの基板があるのですが、そこを確認するとフラットケーブルの端子と基板上のコネクタが焦げていました。当時は抜き差しにより端子が剥がれたり歪んだりすることで焼けたと考えましたが、ホコリの付着電源のオンオフによる過電圧も考えられます。

エクストルーダーを分解するたびに、電源をオフにしてフラットケーブルを抜き、作業が終われば再度フラットケーブルを挿して電源をオンにします。このような操作を何度も行ったことで焼損した可能性がありますね。

この症状をQIDI TECHに連絡して現状品での解決を試みましたが、結局フラットケーブル基板の替えをAliExpressで購入し、部品を交換することで解決しました。

最新機種付属の高温対応エクストルーダーでも注意を!

QIDI TECHの最新モデルであるX-PlusX-CF Proなどでは通常のエクストルーダーに加え、ポリカーボネートやナイロンのような素材に向けた高温対応のエクストルーダーが付属しています。

この2つのエクストルーダーを交換するときはフラットケーブルの取り外しが必要です。そして交換頻度が多いと、前述のようにフラットケーブルの端子が剥がれたり最悪故障したりする可能性があります

せっかくの最新機種を長く経済的に利用するためにもご注意ください。

最新の純正スライサーはX-Smart非対応??

3Dデータを3Dプリンタで印刷するためのgcodeファイルを生成するために、スライスソフト(スライサー)が必須です。CuraPrusaSlicerなどが有名ですが、QIDI TECHは自社製品に向けたスライサー「QIDI-Print」を無料で公開しています(Software – Qidi Technology)。

ソフトを使うときにQIDI TECH製3Dプリンタの機種(X-Maker、X-Plus、X-MAXなど)に合わせて設定します。その際、設定項目がバージョンV.5.6.15以降から変わりました。

Ver. 5.6.14以前だとX-Smartを選択できたので問題なく印刷できましたが、Ver.5.6.15以降やデザインが一新されたVer. 6以降だとX-Smart用のgcodeを作成できません今後X-Smartの利用を検討されている方は古いバージョンの純正ソフトを利用する必要があります。

QIDI-Printのバージョンによるデザインおよび選択項目の違い
機種〜Ver. 5.6.14Ver. 5.6.15〜
QIDI I×
X-one2
X-Smart×
X-pro
X-MAKER
X-Plus
X-MAX
X-CF Pro
i-mate×
(i-mate sで対応可能)
i-mate s
i-fast
QIDI-Printの3Dプリンタ選択項目の抜粋および比較

i-mateについて、このモデルはi-mate sのカバーとエクストルーダーを減らして低価格にしたものです。“s”の有無はその程度の違いであり、本体サイズおよび造形範囲は同じです。そのためi-mateを利用する際はi-mate sの設定で問題ありません。

QIDI TECHNOLOGY Official Store / i-mate 商品ページより引用
(https://ja.aliexpress.com/item/1005002104133439.html)

参考までに、以下のTwitter内のやりとりを見ると、Ver. 6以降ではX-Makerの設定を使えばX-Smartを利用できるとQIDI TECHが説明しています。

しかし、QIDI TECH公式のYouTube動画をもとに比較すると、両者の造形範囲は異なります

  • X-Smart:160×150×150 mm
  • X-Maker:170×150×160 mm

範囲が小さい側(X-Smart)で作成したgcodeを大きい方(X-Maker)で使う分には問題ないかと思いますが、逆の場合だとモータが動作範囲を越えて故障する可能性があります。公式がツイートしているので検証済みかもしれませんが、こちらについては少し疑問を持っており、私の方では未検証です。古いバージョンで利用するのが吉かもしれません。

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2022/10/24追記Ver. 6.2.3では機種の選択項目にX-Smartが追加されました。旧バージョンで対応していた方はぜひ乗り換えてみてください。

V6.2.3ではX-Smartが選択可能

無水エタノールによるカバー破損

X-Smartを掃除するため、ビルドシート用に使っていた無水エタノールで上部のカバーを掃除していました。その際、液を吹き付け過ぎたことにより、カバーにヒビが入り、四隅の磁石部分は割れてしまいました

印刷には大きく影響しませんが、見た目が悪くなったのでAmazonでカバーだけを購入。X-Smart本体は販売していないのに、カバーは売っていました。

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コロナ禍の消毒マナーによりアルコール類で拭き掃除をするのに慣れ、注意が欠けていました。みなさんもうっかり傷つけないよう気をつけてください。

補足ですが、フレームの赤い部分に吹き付けると塗装が剥げます。アルコール類は使わず、水拭きにしましょう。

Wi-Fi / LAN機能と技適関係

X-Smart含め、QIDI TECHの3DプリンタにはWi-Fiモジュールが搭載され、gcodeを転送する機能がついています。

日本で無線関係を使う場合に気になるのが技適(技術基準適合証明)ですが、2022年5月2日に技適を取得したようです。認証の詳細は下記リンクで確認してください。

その中で、認証を受けた型式(3Dプリンタの機種)は以下のとおりです。スライサーでの問題同様、X-Smartは認証機器の型式に含まれておりません。つまりX-Smartは技適未取得機器です。

  • X-Plus
  • i-FAST II
  • X-MAX II
  • X-PLUS II
  • X-Max
  • i-mates
  • X-pro
  • X-Maker
  • X-one2
  • i-mate

X-Smartは旧モデルだと有線LANのコネクタが制御基板に実装され、USBのように外部から接続できました。有線LANであれば無線機能を使わないので技適未取得でも問題ありません。

しかし、改良されたモデルでは有線LANが廃止されています。その上技適未取得のままなので、そのバージョンのX-SmartではUSBポートしか利用できません。

私はフラットケーブルの焼損トラブルに遭遇した際にQIDI TECHに問い合わせ、メインボードの故障を懸念して新しいものに交換しました。すると交換前には実装されたLANコネクタが交換部品にはありませんでした。そのため、gcodeをX-Smartに送るにはUSBを使うしかありませんでした。

LANコネクタのハンダを溶かして交換品に取り付けてよいかメーカーに質問しましたが、止めるように言われて断念しました。

その制御ボードは「非静音性(Non-Silent)」だったこともあり、この交換は完全に失敗でした。静音性を強調する3Dプリンタのメインボードが多くある中で、「Non-Silent Motherboard」はある種のパワーワードでした。

さいごに

本記事では所有する3DプリンタX-Smartを例に、私が直面したトラブルと取り組んだことについてまとめました。もし同機種でなくとも、3Dプリンタのトラブルで困っている人がいましたら、参考にしていただけると幸いです。

QIDI TECHのカスタマーセンターにメールで連絡すると、24時間以内に日本語に翻訳された文面で返事が来ます。もし問題の解決方法が分からない場合、基本的にはそこに連絡するのが早いのでオススメです。メールは日本語でのやりとりも可能ですが、QIDI側の翻訳精度は低めです。

X-Smartは2017年リリースの古い機種で、前述のような改良はあっても印刷品質はおそらく最新のものより劣ります。もしトラブルが多く不満やストレスがあるようでしたら、後継機のX-makerや別機種、別メーカーの3Dプリンタを検討してみてください。私はそのような不満が募った結果、Prusaを購入しました。

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