どうも、Hiro (@hiroloquy) です。
先日、『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』 (@Yobinori) から数値計算手法に関する動画が公開されました。
この記事では動画の3手法の中でも高精度で、名前のインパクトがある「ルンゲクッタ法」に注目。
今回はアルゴリズムについては触れず、表記について取り上げます。
「ルンゲクッタ法」の表記のゆれについて
ルンゲクッタの綴りはRunge-Kuttaですが、日本語だと以下3つの表記をよく目にします。
ちなみにヨビノリの動画で、板書は「ルンゲ・クッタ」、サムネイルは「ルンゲクッタ」だったので、講師のたくみさん (@Yobinori) と編集者のやすさん (@Yasu_Yobinori) の2人で違うみたいです(多分)。
Runge-Kuttaのハイフン「-」をどう表記するのが正しいのでしょうか?
Wikipediaで調べると「ルンゲ=クッタ法」だったのですが、これは本当に正しいのか?他のサイトや文献を調べると「ルンゲ・クッタ法」派の人も多く見られました。
ハイフン無視派の「ルンゲクッタ」が無難でしょうけど、それでは曖昧ですね。
またルンゲクッタに限らず、外国人の名前を日本語で表記するときに「=」「・」を使っているのを見かけます。この2つはどう違うのでしょうか?
気になって調べると「=」と「・」には違いがあり、表記のルールがあることがわかりました。そしてそのルールから、「ルンゲ=クッタ」の表記が正しそうだとわかりました。
「Runge-Kutta法の日本語表記問題」を解決できたので、調べたサイトとそこに書かれた表記のルール日本語表記を共有しようと思います。
調査1:記号「=」は本来等号ではなく二重ハイフン
まずはGoogle先生で調べましょう。検索窓に
「外国人 名前 =と・の違い」
と入力して見つけたサイトが『ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何?』というスピード翻訳の記事です。
記事タイトルの「ジャン=リュック・ゴダール」というのはフランスの映画監督の名前で、本来の綴りはJean-Luc Godard。名前に「=」と「・」の両方が含まれている。これは良い具体例ですね。
綴りと日本語表記を比較すると「=」と「-」、「・」と「 」(空白)が対応しています。この簡単な対応関係が表記のルールである、ということが記事の中で説明されていました。
また、記号「=」は本来、等号の記号ではないとのこと…。これに関する説明の引用がこちらです。
…
ジャン=リュック・ゴダールの「=」は何?(スピード翻訳)
この –(ハイフン)を日本語で文字表記する際には、= に置き換えているということなのです。この = が等号記号に見えてしまうので、Jean = Luc?(ジャンとリュックが等しい?)のように思えてしまうのですが、これはダブルハイフン(二重ハイフン)という記号なのだそうです。ここでは、全角の等号記号で代用していますが、本当は全角の等号記号とダブルハイフンは別物なのだそうです。
このように、外国語表記のハイフン「-」を日本で書くときは、二重ハイフン「゠」と呼ばれる記号を使うとのことでした。
等号記号「=」はその代用らしいです。二重ハイフンなんて初めて聞きました。
このサイトの情報だけで十分だとは思いますが、情報が正しいか判断するため他のサイトも調べてみました。
調査2:約物の表記ルール(二重ハイフン゠と中点・)
玉城武生さんという方のnoteの記事『約物の使い方──二重ハイフン「゠」』で二重ハイフンに関する解説をされていました。
「約物(やくもの)」とは印刷で文字や数字以外の各種の記号の総称で、句読点(、。)や括弧(「」『』)、感嘆符(!)、疑問符(?)などを指します。
一部引用です。
二重ハイフン「゠」(Unicode:U+30A0)は、 …(中略)… 外来語表記の際、欧文の原語でハイフン「‐」(U+2010)に相当する部分に用います。空白に相当する部分には中点「・」(U+30FB)を用います。
約物の使い方──二重ハイフン「゠」(玉城武生)
1つ目のサイト同様、「ハイフンには二重ハイフン、空白には中点」に変えて表記するルールがあると書かれていました。
結論:[英] Runge-Kutta method → [日] ルンゲ=クッタ法
以上2つのサイトを調べて判明した「=」と「・」を使い分け、書き方のルールがこちらです。
そして問題のルンゲクッタ法ですが、本来の綴りはRunge-Kutta methodです。
RungeとKuttaはハイフンで結ばれており、上記のルールでは二重ハイフンまたは等号に変換するので「ルンゲ=クッタ」となります。
またKuttaとmethodの間に空白がありますが、methodは「方法」という意味の英単語です。
人名ではないので、この空白を中点に変換する必要はありません。
私が調べた限りでは、Runge-Kutta methodは日本語で「ルンゲ=クッタ法」と書くのが正しい表記です。
まとめ
この記事では、数値計算手法の1つであるRunge-Kutta methodを例に、外国語表記の人名を日本語で表記するときの「=」と「・」の違いについて2つのサイトを調べました。
そしてわかったことは以下の2点です。
- 等号「=」は本来二重ハイフン「゠」で、等号はその代用である
- 二重ハイフンと中点「・」の表記のルールが存在する
このルールに則ると、Runge-Kutta methodの日本語表記はルンゲ=クッタ法である、というのが私の結論です。
まあ正直、表記に厳密なルールは無いと思うので「=」と「・」どっちでも良いと思います。
ただ、このルールは知っておくと便利だと思います。外国人の俳優やアーティストの名前に「=」「・」があれば、外国語表記の名前の繋がりが分かります。
みなさん、「=」「・」を見かけたときは名前の綴りを調べて確認してみてください。
モヤモヤが解消されたので、今回はこの辺で。
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