昨年4月にPrusa Researchが販売するFFF式3DプリンタであるPrusa i3 MK3S+、さらに数ヶ月後にはPrusa MMU2Sを入手しました。使い勝手の良さ、印刷品質、多色への拡張により3Dプリントライフを存分に楽しんでいますが、作りたいものや試したいことが多いと1台では待ち時間が長くなってしまいます。
印刷の待ち時間が長いと、「作りたい」という熱が次第に冷めてしまうので、待ち時間短縮のためにPrusa MINI+を購入しました。MK3S+と同じPrusa Researchが販売しているFFF式3Dプリンタで、MK3S+と比べるとよりコンパクトな設計になっています。
そこで本記事では、新たに入手した3DプリンタPrusa MINI+に関する特徴を紹介し、テストプリントの結果や所感についてレビューします。またネットで調べる中で見つけた、興味のある改造例についても紹介します。
Prusa MINI+とは
Prusa MINI+はFFF式3Dプリンタで、Prusaの別シリーズであるMK3S+と比べると押出方式がボーデンタイプ、本体サイズがより小さくなっています。他の要素を含め、以下の表にPrusaの2機種の情報を整理しましたが、本体サイズがよりコンパクトに設計され、価格が安くなっています。その一方、印刷範囲が小さく、加熱部の性能が少し下がります。
また、X軸の構造がMK3S+と違って片持ち構造です。そのためプリントヘッドの重量の影響を受けやすく、印刷速度やベッド内の位置によって印刷結果が変わる可能性があります。その点は注意してください。
機種 | Original Prusa i3 MK3S+ | Original Prusa MINI+ |
印刷範囲 | 250×210×210 mm | 180×180×180 mm |
積層ピッチ | 0.05 – 0.35 mm | 0.05 – 0.25 mm |
ノズル | 真鍮 0.4 mm 標準 (他の素材・内径対応) | 真鍮 0.4 mm 標準 (他の素材・内径対応) |
対応素材 | PLA,、PETG、ASA、ABS、PC、CPE、PVA/BVOH、PVB、HIPS、PP、Flex、nGen、Nylon、Woodfill 他 | PLA,、PETG、ASA、ABS、PC、CPE、PVA/BVOH、PVB、HIPS、PP、Flex、nGen、Nylon、Woodfill 他 |
最大移動速度 | 200+ mm/s | 200+ mm/s |
最大温度 | ノズル 300 ℃ ベッド 120 ℃ | ノズル 280 ℃ ベッド 100 ℃ |
エクストルーダ | ダイレクトドライブ | ボーデン |
本体サイズ | 500×550×400 mm | 380×330×380 mm |
本体重量 | 7 kg | 4.5 kg |
Gcode転送 | SDカード | USBメモリ |
価格 | キット\$ 799 組立済 \$ 1,099 | キット \$ 429 半組立済 \$ 459 |
また、MINI+はMK3S+同様オープンソースハードウェアです。PrusaのGitHubには本体のSTL/STEPデータやメインボードの回路図、ファームウェアのソースコードが全て公開されていて、誰でも閲覧・利用することができます(ライセンスに基づいた上で)。
≫Prusa MINI GitHub検索結果(ハードウェア、回路、ソフトウェア)
入手方法
Prusa MINI+を入手する場合、以下の3つが挙げられます。それぞれの詳細について順に説明します。
- Prusa Researchオンラインショップ
- Amazon.co.jp
- AliExpress (※クローン品)
Prusa Researchオンラインショップ
Prusa Researchのオンラインショップでは、MINI+の組立キットと半組立済を選んで購入することができます。また購入時はフィラメント切れを検知するセンサーの有無や、プリントシートの追加/不要をオプションで選択ができます。
公式ショップなので安心して買い物ができますし、予備として消耗品を一緒に注文することもできます。ただし購入時はドル決済なので、為替の影響を大きく受けます。またPrusaはチェコの会社なので海外から商品を輸入する形になります。海外発送の送料や関税なども必要になるので、購入前には為替レートとあわせて確認しましょう。
Amazon.co.jp
MINI+は日本のAmazonでも購入することができます。取り扱いは半組立済のものだけで、組立キット版はAmazonでは入手できません。
為替や送料を考慮しているのか、オンラインショップでの本体価格よりは高くなっています。しかし円決済であれば為替の心配はなく、また発送から手元に届くまでの期間が短くなります。
AliExpress (※クローン品)
前述でも触れましたが、Prusa MINI+はオープンソースソフトウェアなので設計情報が公開されています。そのため誰でも自作することができ、なかにはキット(クローン)を販売しているショップもあります。
FysetcはPrusaのクローン品を扱うショップの1つで、中国の通販サイトAliExpressでMK3S+とMINI+のクローンを販売しています。取り扱いは組立キットのみで、Prusa純正品と比べるとかなり安価で入手することができます。
安さの理由の一つに、キットに3Dプリント部品が含まれていません。そのため自分で部品を印刷する必要がありますが、部品の素材や色を自分好みにカスタムできます。もちろん、3Dプリント部品のみの販売もあるので、それを利用して入手することもできます。
ただ、Prusa公式が販売するものではないので、製品自体の品質保証がどうなのかは不明です。価格が安いこともあるので、購入時はその点は理解する必要があります。またPrusa公式ショップ同様、海外から輸入するので為替の影響や送料・関税などについてもご確認ください。
別メーカーのTrianglelabはPrusa i3 MK3S+のクローン品のみを販売し、MINI+のクローン品は現在販売されていません。TrianglelabにMINI+クローンの取り扱いを直接尋ねたところ、以前はTrianglelabでも取り扱っていたが、MINI+に対するお客の期待値が高過ぎるあまり、不満の声が多く寄せられて販売を止めたとのことです。
失敗談:クローン品の誤購入
私はOriginal Prusa MINI+を購入する前に、Fysetcのクローンを一度購入しました。チャットで在庫確認や価格交渉の末、Fysetcが言う“Prusa MINI Plus”を入手しました。
しかし、Prusa Researchの言う“Prusa MINI+”とは異なり、Y軸方向に拡張されたバージョンが届きました。印刷範囲が18×25×18cmとY方向に6cm広くなっています。チャットの中でFysetcはこの拡張版を“Plus”と呼んでいましたが、私は本家の”+”だと勘違いしてしまいまし…。
本家の“+ (Plus)”とまったく異なる仕様の製品なので、FysetcでPrusa MINIのクローンを考えている方は注意してください。コンパクトさが失われたこの商品は結局メルカリで売り、純正品を購入しました。
開封 & 組み立てイメージ
この章では実際に購入したPrusa MINI+(半組立済)について写真とともに紹介します。また、Prusaの製品イメージには入っていない、MINI+の付属品2種のサイズ感についても説明します。
本体外観
Prusa MINI+はキット版、半組立済がありますが、いずれも組立手順がPrusaのヘルプページ(Prusa Knowledge Base)で公開されています。半組立済については日本語の説明があり、これに沿えば30分程度で組み立てできると思います。
≫MINI+ の組み立て | Prusa Knowledge Base
現在は奥行き60cmの机にMINI+を置いて使っています。ヒートベッドが前後しても余裕があり、コンパクトな作りに満足しています。また操作画面はMK3S+と比較してより大きく、そしてカラー表示になっているのでとても見やすく便利です。
付属品のサイズに注意
MINI+にはPrusaの商品イメージには含まれていない2つの付属品があります。
- 電源ユニット(PSU)
- フィラメントホルダー(置き場所)
まずPSUについてですが、これはMINI+の付属品で電源を入れるために必ず使います。そしてサイズが17.3×7.1×3.4 cmとかなり大きく、場所を取ります。また電源ケーブルが太く長いため、PSUとそのケーブルの収納・配置には工夫が必要です。なお、プラグはアース付きの形状なので、アース対応コンセントに挿すか、変換アダプタを使う必要があります。
つづいてフィラメントの置き場所ですが、MINI+にはフィラメントホルダーが付属しています。4個の608ベアリングでスプールを支え、これをMINI+の隣に置いてフィラメントを供給します。そのため、スプール幅の分だけ床面積が大きくなり、コンパクトな印象が若干薄れます。MINI+に限った話ではありませんが、3Dプリンタに必要なフィラメントの置き場所の確保も忘れないように。
もしこれらで場所を取るのが嫌な方は、Prusa Researchが過去に公開したPrusa Mini Baseと呼ばれるプロジェクトがあります。MINI+の底面に4つの脚を追加し、脚の隙間にはフィラメントを、背面にはPSUとケーブルを収納することができます。部品を作る必要がありますが、見た目がカッコいいので興味のある方はこちらの記事を読んでみてください。
2023/03/12追記:Printablesのこちらのデータを印刷し、Z軸右側にホルダーを追加しました。スプールの存在感は変わりませんが、中央の穴で引っ掛けるだけなのでとても便利です。数ヶ月使っていますが、フィラメント供給でトラブルは今のところゼロです。
≫Prusa Mini – Simple Spool Holder by Agustin “Flowalistik” Arroyo | Printables
セットアップ
この章ではPrusa MINI+組み立て後に行ったセットアップについて紹介します。基本的にはハンドブックの指示に沿ってテストや調整を実施しました。また、Prusa MINI+で起きやすいトラブルの対策として一部の部品の交換作業を行ったので、それについても説明します。
ファームウェア更新・各種テスト
Prusa MINI+にはハンドブックが同梱されているので、それを参照しつつセットアップを進めました。内容はネット上にも公開されているので、PCやタブレット端末で開きながら設定することもできます。
≫プリンタハンドブック | Prusa Knowledge Base
セットアップ時はハンドブック pp.15 – 23の5章 “5. Your First Print”の手順に沿って、以下のテストを行いました。文面だけでは不安な方は、PrusaのYouTubeチャンネルに初期設定の説明動画があるので参考になるかと思います。
≫Original Prusa MINI – Calibration and First Print – YouTube
- ファームウェア更新(付属USBメモリを使用)
- セルフテスト
- フィラメントのローディング(付属or自前のフィラメントを使用)
- ファーストレイヤーキャリブレーション
Z軸の高さを調整するFirst Layer Calibrationは普段印刷をしていく中でのメンテナンスとして、あるいはシートやノズルを交換する機会にも実施します。他のテストと比べて利用する頻度は多いですが、適正な調整値、定着具合を見極めるのは慣れるまで難しいです。そのような場合はこちらの動画を参考にしてみてください。
≫3Dプリンタ『PrusaMINI+』のファーストレイヤーキャリブレーション方法〜配信切り抜きVol.1〜 – YouTube
ヒートブレイクの換装
※ここの内容はハンドブックには記載されていない作業です。
Prusa MINI+ではヒートクリープ現象と呼ばれるトラブルにより、ノズル先端でフィラメントが詰まることが度々発生すると言われています。この原因がプリントヘッドで使用されているヒートブレイクとされていて、ノズル加熱時の熱をしっかり分離するような構造のものへの交換が推奨されています。
≫Prusa MINI のアップグレードパーツ【3Dプリンター】vol.18-2 – YouTube
そこでこちらの記事を参考に、Trianglelabのヒートブレイクを事前に購入してテストプリント前に交換しました。
≫Prusa MINI用 中国製デュアルドライブエクストルーダー換装完了とKaikaChallenge | ふうBLOG
2023/03/12追記:MINI+を数ヶ月使用してノズル詰まりやヒートクリープ現象のノック音はこれまで発生していないので、この換装は効果があると思います。
テストプリント
MINI+の付属USBメモリには、あらかじめサンプルデータがいくつか保存されています。そしてサンプルフィラメント約25gが2色付属しているので、すぐに印刷を試すことができます。
付属USBのサンプルデータは合計8種類あり、FFF式3Dプリンタのベンチマークとして有名な3DBenchy、PRUSAの文字が入ったプレートなどが含まれています。なお、今回テスト印刷では付属のサンプルフィラメントではなく、自前のPrusamentを使用しました。約1年前に入手したものなので、吸湿・劣化等の影響を含む可能性があります。。
印刷結果はどれもキレイでした。PEIシートの定着力のおかげでエンクロージャ無しでも底面の反りはなく、表面も荒れることなく非常に綺麗です。積層痕が目立ちにくくなっていますが、これはフィラメント(Prusament)による効果が大きいかと思います。Amazon等で流通する¥3,000程度のフィラメントであれば、より目立つと思います。
糸引きが多少見られましたがボーデン式は糸引きが起きやすく、またフィラメントが古いことから多少は仕方ないかと思います。ただ、気になる程度ではありませんし、ターボライターやヒートガンで温めれば十分除去できるレベルです。
ターボライターを使った糸引きの処理が気になる方はこちらの記事をご覧ください。
≫Prusa i3 MK3S+の組立に便利な工具5選 | Hiroloquy
詳細ですが、3DBenchyの底面の文字やオーバーハングもキレイに印刷されています。羊は前足と後ろ足の間のお腹部分がブリッジになりますが、こちらも荒れた様子はありません。ちなみに印刷したボルトとナットは実際に締めることができます。
以上でPrusa MIN+のテストプリントが終わりました。これからはMK3S+とMINI+の2台体制でどんどん3Dプリントしていこうと思います!MK3S+はMMU2Sの拡張とPolyTerra PLAによる多色印刷仕様にしているので、MINI+はそれ以外の素材(PETGやPC-CFなど)で運用するつもりです。
今後Prusa MINI+を使う中で起きたトラブルについてはブログやSNSで共有しようと思います。
今後やりたい改造
Prusa MINI+を入手し、3Dプリンタ2台体制が整ったのでどんどん印刷していこうと思うのですが、3Dプリンタ本体の改造に興味があり、以下の改造を検討しています。
- OctoPrint導入
- 3Dプリント部品のカラーチェンジ
- ダイレクトドライブ化
- 折りたたみ式にして持ち運び可能
OctoPrint導入
3Dプリントを実行するには、3Dプリンタ本体に造形物に関するデータ(*.gcode)を送る必要があり、Prusa MINI+ではUSBメモリを挿してデータを転送します。ちなみにMK3S+はSDカードを利用します。
MINI+導入当初は特に問題なかったのですが、設計やスライス設定を修正するたびにUSBメモリをPCに挿し、Gcodeを書き込んではUSBを抜いてMINI+に挿す、というのを繰り返すとUSBの抜き差しが億劫になります。また、データを転送する度にこれを行うので、PC / MINI+のUSBポートあるいはUSBメモリが少しずつ劣化して寿命を縮める要因となります。
そこで、Wi-Fi経由でデータ転送できるOctoPrintを導入する予定です。これはRaspberry Piの3Dプリンタ向けOS:OctoPiにより利用できるWebインターフェイスです。ブラウザ上で3Dプリンタの温度管理や印刷の開始/停止、データ転送を行うことができます。
拡張プラグインが多数あり、タイムラプス撮影(Octolapse)や外出先での監視(OctoEveryWhere)などの機能を追加・カスタマイズ可能です。またPCのブラウザからだけでなく、専用アプリを使えばiOS、watchOS、Androidで3Dプリンタを操作・監視することも可能です。
OctoPod for OctoPrint
Gaston Dombiak無料posted withアプリーチ
OctoRemote for OctoPrint
OctoRemote無料posted withアプリーチ
過去にRaspberry Pi Zero 2 Wを使ってPrusa i3 MK3S+にOctoPrintを導入した経験もあるので、今回購入したPrusa MINI+にも導入するつもりです。
最新のファームウェアではPrusaLinkという機能を利用でき、OctoPrintのようにブラウザ上でのデータ転送、温度等の監視が可能になります。これはPrusa Research公式がリリースしたもので、Wi-Fiモジュールを制御ボードに搭載、あるいは有線LAN接続により有効にできます。導入手順はPrusaのヘルプでしっかり解説されています。
≫プルサコネクト ローカル (MINI) | Prusa Knowledge Base
ただ、Prusa指定のWi-Fiモジュールは技適未取得のため日本では利用することができません。また、有線LANではケーブルが増えてしまい整頓が面倒になるため、私はOctoPrintを採用しました。
なお、技適の特例制度を申請すれば、180日間の期間内でWi-Fiモジュールを利用可能です。申請手順についてはこちらの記事が参考になります。
≫技適未取得機器を用いた実験等の特例制度を申請して3Dプリンタ「PrusaMINI+」にWi-FiモジュールESP-01を取り付け、適法で運用する方法
2023/03/12追記:静電気放電 (ESD) 対策に向けて作られたPolymakerのフィラメント:PolyMax PETG-ESDを使ってRaspberry Pi Zero 2 Wのケースを作り、Prusa MINI+にOctoPrintを導入することができました。USBメモリの抜き差しの億劫さから解放されたのは本当に良かったです。OctoPrintの導入が気になる方はご参考に!
3Dプリント部品のカラーチェンジ
Prusa MINI+を構成する部品の中には3Dプリントで作られた部品がいくつもあり、前述のとおりMINI+を構成する3Dプリント部品の3Dデータは誰でも利用できます。
≫MINI+ Printable parts by Prusa Research | Printables.com
部品が壊れればそのデータを印刷して交換できますし、設計をアレンジすればメンテナンス性を向上させることも可能です。また、Prusa定番のオレンジ&黒の配色とは異なる色のフィラメントを使えば、Prusa MINI+を好きな色にカスタムできます。
オレンジ&黒の配色は一目でPrusaとわかるので私はこの配色に不満はなく、気に入っています。ただ、模様替えくらいの感覚で本体色を変えたくなる時が必ず来る(MK3S+の時がそうでした)ので、どこかで部品のカラーチェンジを行うつもりです。透明色のPETGでの換装を検討中です。
購入前からPrusa MINI+の本体色変更を検討している方は、クローン品で金属部品やモータ類のみを入手するのも一つだと思います。
ダイレクトドライブ化
Prusa MINI+の押出方式ではボーデン式を採用しています。そのためプリントヘッドは軽量で現在の片持ち構造でも十分な精度で3Dプリントすることができます。
ただ、TPUのような軟質素材はボーデン式では一般に扱いが難しいとされています。Prusa ResearchはPrusa MINI+でもFLEX素材が印刷可能だと謳っていますが、印刷設定の十分な調整が必要かと思います。
そこで、プリントヘッドをダイレクトドライブ式に改造することで、フィラメント素材の制限をなくす試みがあります。TPUのような軟質材料の印刷以外にも、フィラメントの押出し・リトラクション動作が安定するメリットがあります。しかし、改造作業の手間やGcodeあるいはファームウェアの再調整、プリントヘッドの重量増による印刷精度低下などのデメリットもあります。
ダイレクトドライブ化についてはPrusa MINI+購入前から検討しており、こちらの記事で他のアップグレード方法と併せて検討しています。他のプロジェクトが開発したエクストルーダや使用するモータなどについても解説しているので、よろしければご参考に。
Prusa MINI+ユーザーの中にはダイレクト化に取り組む先人が既にいますが、感想を見聞きした限りでは強く勧められる改造ではないようです…。それでも私は技術的興味から取り組んでみようと思っています。3Dプリンタの改造に興味がある方、TPUの使用頻度高めの方はぜひ調べてみてください。
折りたたみ式にして持ち運び可能
Prusa MINI+はサイズ感でも十分コンパクトな方かと思いますが、「好きな場所にMINI+を運べるよう、折りたたみ式に改造できないか?」と考えています。Prusa MINIのZ軸フレームを下ろして高さを減らす構造に改造できれば、折りたたんでリュックやカバンで持ち運び、さまざまな場所でPrusa MINI+を運用することができます。
- 実家に帰省して壊れた部品を修理
- 友人宅で小物を3Dプリント
- ワークショップや展示などで3Dプリンタの実際の動きを披露
上記のような予定は今のところありません。それでも「折りたたみ式」には変形ロボットのようなロマンを感じているので、いつか実現したいと考えています。
Printablesには既に取り組んでいる方のデータを見つけたので実際に試しましたが、クリアランスがおかしくて使えない部品があったり、説明文と設計内容が一致しなかったりと、いろいろ不備があって断念しました。
≫Foldable [PMFC] Prusa Mini Fast Compact Mobil Transport Assembling Mod/Kit/Addon for hand baggage by internetmitmensch | Printables.com
多くの方々が自作あるいは既製品の改造で折りたたみ式3Dプリンタの開発にこれまで取り組んでいます。折りたたみ計画は時間がかかりそうなので、もう少し調べて参考にできそうな情報を集めてみます。
- FoldaRap, the Folding Reprap by watsdesign – Thingiverse (2012年、オリジナル品)
- Foldable Ender 3 pro – YouTube (2019年、Ender 3 Proを改造)
- Portabee GO 3D Printer is Officially Released – First Truly Foldable & Portable 3D Printer for $595 – 3DPrint.com (2014年、Prusa MINI+と同じ片持ち構造のオリジナル品)
- X printer – portable | Hackaday.io (2019年、Z方向の上下にシザー構造を採用)
- Positron 3D – Home of the Positron Printer (オリジナル品、2023年発売予定で1番理想的)
なお、折りたたみ改造が実現するまで、Prusa MINI+の運搬にはデリバリーバッグを利用するつもりです。Prusa MINI+のZ軸を下ろしてコンパクトにできれば、持ち運びが楽になると期待できます。ただ、Z軸フレームを動かす以上、First Layer Calibrationの再調整が必要になります。しかしデリバリーバッグぐらいの容積であれば、そのままMINI+を詰められます。運び先での再調整が不要となり、電源ケーブルさえ繋げばすぐにPrusa MINIで3Dプリントできます。
さいごに
本記事ではPrusa Researchの販売するFFFタイプの3DプリンタPrusa MINI+を購入し、テストプリントまでの中での所感や調べた事項に触れつつ、レビューしました。また、今後取り組みたい改造について4つ挙げて、それぞれの詳細や先行事例について紹介しました。Prusa MINI+の購入を考えている方の参考になれば幸いです。
コメント